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  • 【相続/Q25】【民法改正】配偶者居住権の目的となる建物の修繕は誰が行うのですか、またその際の費用負担はどうなりますか?

    question
     
     
    配偶者居住権の目的となる建物の修繕は誰が行うのですか、またその際の費用負担はどうなりますか?
     
     
    answer
     
    修繕については、実際に建物に居住する配偶者が行うことができます。
     
    もし居住建物の修繕が必要である場合に、配偶者が相当の期間内に
    修繕を行わない場合には、所有者が修繕することができます。
     
     
    また、配偶者は、居住建物の修繕が必要な場合(配偶者が自ら使用・収益に
    必要な修繕をするときを除く。)には、所有者に対して遅滞なく
    その旨を通知しなければなりません。(民法第1033条)
     
     
    費用負担については、以下の通り規定されています。(民法第1034条)
     
    ① 小修繕費、公租公課(通常の必要費)
     
    日常の細々とした修繕費は配偶者負担となります。
    建物の固定資産税は建物の所有者が納税義務者と
    なっているため、所有者が納税しなければなりませんが、
    配偶者は通常の必要費を負担することになっているため、
    所有者は自分が納付した分を配偶者に請求することができます。
     
    ② 大修繕費(特別の必要費)
     
    風水害等による家屋の大修繕費は所有者の負担となります。
     
    ③ 建物の改良や価値を増加させるのに役立つ費用(有益費)
     
    例えば、窓をより機能性の高い窓に取り換えた場合や
    雨戸を新調した場合の費用を所有者に請求することは可能ですが、
    返すときにあまりに古すぎて値打ちがなくなっている場合には請求できません。

  • 【相続/Q24】【民法改正】配偶者居住権の存続期間中、配偶者は居住建物を使用する際にどのような義務が生じますか?

    question
     
     
    配偶者居住権の存続期間中、配偶者は居住建物を使用する際にどのような義務が生じますか?
     
     
    answer
     
    配偶者居住権を取得した配偶者は、無償で居住建物に住み続けることが
    できますが、以下のような義務が生じます。(民法第1032条)
     
    ① これまでと違う方法で建物を使用することの禁止
    ② 建物の使用にあたって、建物を借りて住んでいる場合
    と同様の注意をはらうこと。
    ③ 配偶者居住権の譲渡禁止
    ④ 建物の無断増改築の禁止
    ⑤ 第三者に建物の無断使用収益をさせることの禁止
     
     
    配偶者がこれらの義務に違反し、居住建物の所有者が相当の期間を
    定めて是正を催告し、その期間内に是正がされない場合、
    所有者は、配偶者居住権を消滅させることができます。
     
     
    ※③の配偶者居住権の譲渡禁止に違反したこと自体は消滅請求事由とは
    されていませんが、配偶者居住権の譲受人に建物を
    使用収益させることにより、消滅請求をする事ができます。

  • 【相続/Q23】【民法改正】配偶者居住権の設定の登記とはどのようなものでしょうか?

    question
     
     
    配偶者居住権の設定の登記とはどのようなものでしょうか?
     
     
    answer
     
    配偶者が取得した配偶者居住権を、第三者(例えば、居住建物を譲り受けた人)
    に主張することができるようにするものです。
     
    そのためには、配偶者居住権を取得した建物の所在地を管轄する法務局(登記所)
    で登記手続きを行う必要があります。
     
    配偶者居住権の設定登記をしておけば、建物の所有者が第三者に建物を売却して、
    建物の所有者が入れ替わったとしても、新しい所有者に対して
    配偶者居住権を主張することができ、安心して住み続けられます。
    (「対抗要件の具備」といいます。)
     
      
    しかし、配偶者居住権の設定登記がされないうちに所有者が
    入れ替わってしまった場合は、新しい所有者に対して
    配偶者居住権を主張することができません。
    新所有者からの要求があれば、配偶者は建物から
    立ち退かなければならないことになります。
     
      
    相続人間で争いがあるような場合には、所有権を取得した相続人が、
    配偶者を追い出す目的で第三者に売却することも想定されます。
    権利を主張するための登記は、登記の先後で優劣が決まります。
    権利関係のトラブルを避けるためにも、配偶者居住権を取得
    したらできるだけ早く登記手続きをすることをおすすめします。
     
    なお、居住建物の所有者は、配偶者居住権を取得した配偶者に対し、
    配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負っています。(民法第1031条1項)
    配偶者は居住建物の所有者に対して、登記手続きに協力するよう
    求めることができ、所有者はこれを断ることはできません。
     
    ※配偶者居住権の設定登記をする前提として、
    被相続人から相続人への相続、遺贈等を原因とする
    所有権移転登記が必要になります。