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  • 【破産/Q15】自己破産をすると仕事を続けられなくなりますか?

    question
     
    自己破産をすると仕事を続けられなくなりますか?
     
    answer
     
     
    勤務先は従業員を自己破産を理由に解雇することはできません。
     
    裁判所が勤務先に破産手続開始がされたことを通知することもありません。
     
    破産手続開始決定がされると、裁判所は決定がされたことを債権者に
    通知する必要があるので、勤務先からの借り入れがある場合には、
    勤務先にも通知が行くことになりますが、勤務先からお金を借りて
    いなければ勤務先に知られることはありません。
     
    ただし、自己破産をした場合に特定の資格や職業に制限がかかり
    仕事の継続が困難となる場合があります。
     
    保険外交員、証券外務員、質屋、古物商など他人の財産を扱う
    職業の方は資格制限の対象です。
    その他にも、旅行業務取扱管理者、警備員などが資格制限の対象になります。
     
    破産者が会社の役員である場合、会社との委任契約が終了するため、
    役員の地位を失うことになります。(破産者を再度会社の役員に選任することは可能です。)
     
    弁護士、公認会計士、司法書士、税理士などの資格所有者は資格停止になり
    一定期間業務をすることができなくなります。
      
    資格制限の期間は破産手続きが完了し免責決定が確定するまでなので、
    ずっと資格制限が継続するわけではありません。
     
     
    自己破産申し立て後、免責許可決定が確定するまで、財産がない場合には3カ月から半年程度、
    財産があり破産管財人が選任されている場合には、半年から1年程度が目安になります。

  • 【破産/Q14】自己破産をすると保証人にどのような影響が出ますか?

    question
     
    自己破産をすると保証人にどのような影響が出ますか?
     
    answer
     
    原則、自己破産による影響を受けるのは自己破産をした本人のみです。
    ただし、借金をした際に保証人がいる場合は、保証人に影響が出てきます。
     
    債権者は、債務者が万が一返済できなくなった場合に備えて保証人
    を確保しています。債務(借金)に保証人が付いている場合、
    債権者(金融機関など)は保証人に対して返済を求めることになります。
     
    あなたが自己破産の申立てをして、債務返済の責任を免除されても、
    保証人はあなたの代わりに借金を返済する義務があります。
     
    しかも、債権者との契約上、支払いが滞った場合には分割払いが認められなくなる
    ことが多いため、保証人へは一括で請求される可能性が高いです。
    (最終的には分割払いに応じる債権者も多いです)
     
     
    もし保証人に支払い能力がなかったり、支払いが困難な状況にある場合、
    保証人についても自己破産等の債務整理を検討する必要があります。
     

  • 【破産/Q13】自己破産をすると自分以外の家族に影響が及びますか?

    question
     
     
    自己破産をすると自分以外の家族に影響が及びますか?
     
     
    answer
     
    原則として自分以外の家族に影響が及ぶことはありません。
     
    自己破産することによって発生するメリットやデメリットは、
    破産者だけが受けることになります。
    破産者と家族であるということだけでは、その人たちに何らの影響はありません。
     
    保証人にならない限り家族に支払義務はありません。
     
    また、家族の進学、就職、結婚等にも影響はありません。
     
     
    【破産/Q14】自己破産をすると保証人にどのような影響が出ますか?に続く。

  • 【破産/Q12】自己破産をすると住む場所はどうなりますか?

    question
     
     
    自己破産をすると住む場所はどうなりますか?
     
     
    answer
     
    ①アパートや借家などの賃貸借物件に暮らしている場合

     
     
    自己破産をしても自己破産をしたことのみを原因として
    契約を解除されて退去を求められることはありません。
     
     

    ただし、家賃を滞納していた場合、契約が解除され
    退去しなくてはならない場合があります。
    家賃滞納がない場合には貸主は債権者ではないため、
    裁判所から貸主に通知が行くこともありませんので、
    自己破産したことを貸主に知られることはありません。
     
    ②自己所有の不動産に暮らしている場合
     
    住宅ローンを返済中の場合、多くの場合、土地建物を担保にお金を借りています。
    ローンの支払が滞った場合には、ローン会社は対象となる土地建物を売却して、
    残存した債権を回収することができるのです。
     
     
    住宅ローンがない場合でも不動産は高額な財産ですから、破産管財人が裁判所の
    許可を得て任意に売却をするか、競売という手続きを経て売却をするか、
    なんらかの手続きを経て、土地建物を手放すことになります。
     
    ただし、これはあくまでも土地建物がご自分の所有である場合で、
    配偶者や親族名義の土地建物に住んでいる場合には影響がありません。
    住宅を処分するには通常は数か月を要するので、即座に退去を迫られる
    ことにはなりません。その間に引っ越し先や引っ越し費用の準備を
    していくことになります。
     
     
    住み慣れた場所を離れるのは、生活に大きく変化を与えることになりますが、
    これも自分の生活スタイルや、お金の使い方などを計画的に立て直す
    のに必要なステップだととらえましょう。

  • 自己破産をした場合、未受領の養育費はどうなりますか

     

    Aさんは離婚後、相手方から養育費を受け取ることになっていましたが、養育費の支払いがされず、自分と子どもの生活費の不足分を借金で補ってきました。

    返済が難しい状況になったため、自己破産を検討しています。

    Aさんが自己破産をした場合、未受領の養育費はどうなるのでしょうか。

     

    Aさんに一定以上の財産がない場合

    破産手続開始決定時に一定以上の財産がない場合には、破産手続き開始決定と同時に破産手続きが廃止されます(同時廃止事件)。

    Aさんの未受領の養育費を含めた財産の総額が20万円を超えていない場合、Aさんは破産手続き開始決定時に有していた財産全額を手元に残すことができます。

    Aさんは未受領の養育費を相手方に請求することができます。

     

    Aさんに一定以上の財産がある場合

    自己破産手続き開始決定時点で一定の財産がある場合、破産手続き開始決定と同時に破産管財人が選任される管財事件となります。

    Aさんに破産手続き開始決定時点で未受領の養育費を含む一定の財産がある場合、原則として未受領の養育費は破産管財人の管理処分の対象になります。

     

    ① 相手方からの支払いが見込めない場合

    未受領分の養育費について、相手方からの支払いが見込めない場合には、なぜ支払いが見込めないのかを破産申立書類の中で明らかにする必要があります。

    この場合、未受領の養育費を除くAさんの財産が一定額を下回ることになると管財事件ではなく、同時廃止事件になります。

     

    支払いが見込めない理由が不明確な場合には、原則として破産管財人による調査が行われることになります。

    破産管財人の調査により、未受領の養育費の回収ができず、Aさんの財産が一定額を下回ることが明らかになった場合は、その時点で破産手続きが廃止されます。

     

    ② 相手方からの支払いが見込める場合

    破産手続開始時点において未受領の養育費は、原則として破産管財人の管理処分の対象になります。

     

    ただし、この場合でも、Aさんは、お子さんとの生活を送るうえで、その養育費が生活上欠かすことができないことを裁判所に申出て、裁判所に認めてもらうことにより、現金を含めて最大99万円までの財産を手元に残せる可能性があります。(自由財産の拡張といいます。)

     

    司法書士 永野昌秀

  • 自己破産をした場合、受け取っていた養育費はどうなりますか

     

    Aさんは離婚後、相手方から養育費を受け取ってきましたが、自分と子どもの生活費の不足分を借金で補ってきました。

    返済が難しい状況になったため、自己破産を検討しています。

    Aさんが自己破産をした場合、養育費をこれまで通り相手方から受け取れるのでしょうか。

     

    自己破産をしても養育費を受け取る権利はなくなりません。

    親が自己破産をしたとしても、自己破産手続き開始決定後に受け取る養育費に影響はありません。

    破産手続き開始決定後に新たに得た財産は、処分の対象にならないためです。(破産法第34条第1項)

    Aさんは自己破産手続き開始決定後、養育費をこれまで通り相手方から受け取ることができます。

     

    養育費を口座振込で受領している場合は注意が必要です。

    自己破産手続き開始決定時点で一定の財産がある場合、破産手続き開始決定と同時に破産管財人が選任される管財事件となります。

    養育費を銀行預金口座等への振込みで受領している場合、銀行口座に振り込まれた養育費は「預金」という扱いになります。

    Aさんが自己破産手続き開始決定時にすでに受け取っていた養育費が貯蓄されており、預金として20万円を超える場合、20万円を超える部分は「財産」とみなされ、原則として破産管財人の管理処分の対象になります。

     

    その場合でも、Aさんは、お子さんとの生活を送るうえで、その養育費が生活上欠かすことができないことを裁判所に申出て、裁判所に認めてもらうことにより、現金を含めて最大99万円までの財産を手元に残せる可能性があります。(自由財産の拡張といいます。)

     

    司法書士 永野昌秀

  • 離婚した相手が自己破産をしたら養育費はどうなりますか

     

    Aさんは離婚した相手から「自己破産するから養育費はもう支払えない」と言われました。

    Aさんも働いていますが、余裕はなく、突然支払えないと言われても困ってしまいます。

    Aさんの子の親権者はAさんです。

    親権者でない相手が自己破産をした場合には養育費の支払いを受けることはできなくなるのでしょうか。

     

    相手が自己破産したとしても養育費の支払い義務がなくなることはありません。

    親は、自分の子どもに対して、扶養義務を負っています(民法第877条第1項)。離婚によって親権を失ったとしても、相手が子どもの親であることに変わりはないため、法律上の扶養義務を継続して負うことになります。

    養育費は、自己破産をして免責許可が確定しても支払い義務が免除されない「非免責債権」にあたります。(破産法第253条第1項4号ハ)

     

    現実的に回収できるかどうかという問題は残ります。

    相手が自己破産をすれば、今まで返済に回していた分だけ生活費に余裕ができる可能性はあります。

    相手に収入があれば、破産手続き開始決定後に取得した財産は、相手が自由に処分できる財産となるため、相手との話し合いや、給与などが入ってくる銀行口座を差し押さえることによって、養育費を回収できる可能性はあります(養育費の場合は、最大で手取り額の2分の1までの差押えが認められます。)。

    しかし、相手方が経済的に困窮し、資力がほとんどない場合には、現実的に養育費の支払いを受けることは困難になるでしょう。

     

    こうした場合、離婚後に受給できる公的給付を利用することも可能です。

    詳しくはこちらです。

    厚生労働省、ひとり親家庭の支援について

    司法書士 永野昌秀

  • 自己破産をすると会社で掛けている確定拠出年金はどうなりますか

     

    Aさんは借金が800万円ほどあり、自己破産を検討しています。

    Aさんは会社員で企業型確定拠出年金に加入しており、あと数年で定年退職をするため、自分の老後の資金のために、会社のかけてくれる確定拠出年金の他に自分でも毎月2万円の確定拠出年金の掛け金を出しています。

    会社の確定拠出年金の運営管理はB銀行が行っており、AさんはB銀行からも借金があります。

    Aさんが自己破産をした場合には確定拠出年金はどうなるのでしょうか。

     

    Aさんは確定拠出年金を60歳以降に受取ることができます。

    確定拠出年金は老後資金の形成を目的とした制度で、60歳以降に、確定拠出年金の規約の定めにより、一時金または年金などの形でお金を受け取ることができます。

     

    個人が破産する場合、破産手続開始時に所有していた財産のうち一定の財産はそのまま破産者の手元に残すことができ、破産者が自由に管理・処分することができます。これを「自由財産」といいます。

    自由財産の中でも、99万円以下の現金や差押えが禁止されている動産(家財道具など)や債権(給料など)は当然に自由財産になります。(破産法第34条第3項)

    確定拠出年金は確定拠出年金法の定めにより(確定拠出年金法第32条第1項)当然に自由財産となり、税金等の滞納処分以外では差押えができない差押え禁止財産とされています。

     

    Aさんが自己破産をしても、確定拠出年金の運営管理を行うB銀行はAさんの確定拠出年金と借金を相殺することはできません。

    Aさんは、自己破産をしても自分の老後の資金である確定拠出年金を守り、60歳以降に受取ることが可能です。

     

    司法書士 永野昌秀

  • 個人再生の申し立て後に新たに債権者が見つかった場合はどうなるのですか?

     

    申立後、開始決定となり、その旨が掲載された官報を確認した債権者が個人再生を申し立てたことを知り、債権の届出期間内に債権を届け出た場合には、新たに見つかった債権者を個人再生手続きに加え手続きが進行します。

     

    他方、債権の届出期間内に債権が届けられることなく、手続きが進んだ後に債権者がいることが判明した場合、どのようなことが考えられるでしょうか?

     

    1.債務者が最初から特定の債権者を債権者一覧表に記載しなかったことが意図的であると判断された場合、例えば「書面決議に反対しそうな債権者だから記載しなかった」「親族からの借金だから記載しなかった」という事例

     

    この場合、悪質な「債権隠し」と判断されたときは、再生計画が不認可となり、また、再生計画認可後では認可された再生計画が取り消されてしまう可能性があります。

     

    2.債務者の落ち度で債権者一覧表に記載することを遺漏してしまい、債権届出もされなかった債権の事例

     

    例えば、Aさんは総債務額が500万円だったにもかかわらず、そのうちの100万円を持つ甲債権者を債権者一覧表に載せるのを忘れ、総額400万円として手続きが進行してしまいました。甲債権者はAさんが手続きを行っていることに気づかず債権届出も提出されず開始決定が出されてしまった場合、どうなるでしょうか。

     

    債務者が知っている債権者の記載漏れが発覚した場合で、債権者からの届け出もなかった債権については、一定の条件下で再生計画に含めることが認められています。

    ただし、再生計画における最低弁済額を決めるための基礎に含まれないので、債務者にとっても不利益になることがあるので注意が必要です。

     

    個人再生においては総債務額が500万円の場合、通常5分の1まで減額され、最低弁済額である100万円を原則3年かけて返済することになります。

     

    しかし、100万円の債権の記載を遺漏してしまった場合は以下となります。

     

    (1).債務額400万円→100万円(75%減)

    400万円の5分の1は80万円ですが、個人再生には最低弁済額というものがあり、100万円と決められているため、最低弁済額の100万円になります。

     

    (2).債務額100万円→25万円(75%減)

    認可決定が出た割合「(1)の割合」で減額されます。

     

    (1)+(2)=125万円

    Aさんは125万円を返済する必要があります。

     

    個人再生を依頼する場合、事前に必要な書面などを準備して、全ての債権者を忘れずに申告するようにしましょう。

     

    個人再生に限らず債務整理をお考えの場合、まずは相談だけでもかまいませんので、ぜひ芝事務所にご連絡ください。

                                            三浦和弥

  • 自己破産をすると国民健康保険はどうなりますか

     

    Aさんは4社から合計500万円の借金があります。

    支払ができなくなり、自己破産を検討しています。

    Aさんは国民健康保険に加入していますが、国民健康保険料を滞納しています。

    自己破産をした場合、Aさんの国民健康保険にどのような影響があるのでしょうか

     

    国民健康保険証が使えなくなることはありません。

    自己破産をしても健康保険には継続して加入し続け、利用することができます。

    Aさんの健康保険証が使えなくなるということはありません。

     

    健康保険の滞納分は支払う必要があります。

    Aさんが自己破産をし、免責許可決定を受けると借金の支払い義務は原則としてなくなりますが、健康保険料は税金と同じように支払い義務があり、健康保険料の滞納分は免責の対象になりません。(破産法第253条第1項ただし書1号)

    国民健康保険は毎月の支払い期日があります。期限を過ぎても支払いができない場合、延滞金も発生します。

    Aさんは免責許可決定を受けても、滞納分と延滞金全額を支払う必要があります。

     

    やむを得ない理由で健康保険料の支払いができない場合は、減額や免除などの軽減措置が受けられる場合もあるので、早めに市町村役場の窓口で相談してみましょう。

    静岡市にお住いの方はこちら

     

    司法書士 永野昌秀

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