Aさんは500万円ほどの借金があり自己破産申立中でしたが、破産手続き開始決定前に父親が亡くなり、相続が発生しました。
父親の相続財産は持ち家と預貯金が200万円程あります。相続人はAさんと、母親とAさんの弟の3人です。
遺産分割協議が未了のまま破産手続開始決定がされた場合、遺産分割協議はどのようにすればよいでしょうか。
Aさんに代わって破産管財人が遺産分割協議に参加することになります。
遺産分割協議は相続財産を最終的に誰が取得するかを決める協議であるため、相続人全員で行わなければなりません。
相続人の中に破産者がいる場合、破産者は相続財産の処分をすることができなくなるため、代わりに裁判所に選任された破産管財人が遺産分割協議に参加することになります。
自己破産は、破産者の財産のうち、破産者の経済的な再建に必要なもの以外の財産を債権額に応じて各債権者に配当する手続きです。
自己破産手続き中に破産者が自身の財産を自由に処分できるとすれば、債権者に配当する財産が減少する可能性があります。
このようなことを防止するため破産者の財産の管理・処分権を制限し、破産管財人が代わって財産の管理・処分を行うこととされています。
Aさんは自身の遺産分割協議に参加することはできず、代わって破産管財人が他の相続人と遺産分割協議を行い、Aさんの相続分を確定させて債権者へ配当する財産に組み入れていくことになります。
司法書士 永野昌秀