Aさんは昨年自己破産をし、免責許可決定を受けています。
今年になり、Aさんは父親を亡くしました。
過去に自己破産をしていると相続財産を受取れないのでしょうか。
Aさんは自己破産をしていても相続財産を受取ることができます。
法律上、相続人になることができない人のことは、民法891条に定められています。(相続欠格といいます。)
① 故意に被相続人(Aさんの父親)や自分より先順位若しくは
同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者。
② 被相続人を殺害した犯人を知っているのに、告発・告訴をしなかった人(ただし是非の弁別がない人や犯人が自分の配偶者若しくは直系血族であった場合を除く)
③ 詐欺や強迫によって被相続人の遺言の作成や撤回などを妨げた人
④ 詐欺や強迫によって被相続人に遺言の作成や撤回などをさせ た人
⑤ 被相続人の遺言を偽造・変造したり破棄・隠匿したりした人
自己破産をしたことは相続欠格事由には該当しないため、過去に自己破産をしたことはAさんの相続に影響しません。
また、破産手続開始決定後に破産者の取得する財産は破産手続の中で処分されることはなく、全て破産者が自由に処分できる財産となります。
Aさんは昨年免責許可決定まで受けていますので、問題なく相続人として自分の相続財産を受取ることができます。
司法書士 永野昌秀