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「自己破産」カテゴリーアーカイブ

本人がどこから借りたか、いくら借りたかを覚えていなくても自己破産はできますか

 

Aさんの親は高齢となり、最近判断力が低下してきました。

心配したAさんは、親の財産の管理などを支援しようと親と話し合ったところ、親が借金をしており、どこから借りたか、いくら借りたかも覚えがなく、返済もしていないということがわかりました。

本人がどこから借りたか、いくら借りたかを覚えていなくても、自己破産を申立てることはできるでしょうか。

 

高齢等で判断能力が不十分な方が、借金の返済が不能の場合、後見人等を選んだ上で、自己破産の申立をする方法があります。

(「親が借金の返済をしていないことが判明しました、私が代わりに自己破産を依頼できますか」を参照)

 

信用情報機関への照会により債権者や債権額を確認することが可能です。

カードの督促状がたくさん届いているが管理ができていない、本人はどこから借りていたか、いくら借りていたかも覚えていない場合、Aさんは家庭裁判所の審判を受けて、成年後見人等として信用情報機関へ照会することにより債権者や債権額を確認することが可能です。(Aさんが保佐人・補助人に選任された場合には、保佐開始・補助開始の審判に加えて、代理権付与の審判を受ける必要があります。)

 

金融機関・クレジット会社等は、与信管理等を行うために誰がどこでいくら借りているのか等の情報を共有しています。この情報を「信用情報」といい「信用情報」を取得することで、債権者や債権額を把握することができます。

 

具体的な手続き方法については以下のサイトを参照してください。

CIC

JICC

全国銀行協会

 

なお、小規模の町金融などは信用情報機関に加盟していない場合があります。個人からの借金は信用情報開示を受けても把握できません。

信用情報を取り寄せたうえで、親宛ての領収書、請求書が来ていないかなども確認し債権者や債権額の把握に努めましょう。

 

司法書士 永野昌秀

スマホゲームで課金しすぎてしまった場合でも自己破産できますか

 

Aさんの趣味はスマホゲームです。最初は基本的な機能で無料で遊んでいましたが、ゲーム仲間内で優位に立ちたいと思い、課金をするようになりました。

ゲームの課金金額の支払いは携帯代金と一緒に引き落とされるように設定しました。携帯代金の支払いが段々高額になってしまい、携帯電話の使用を維持するために借金をするようになり、支払いができなくなってしまいました。

スマホゲームでの課金のし過ぎが原因でも自己破産することは可能でしょうか。

 

スマホゲームでの課金による借金は免責不許可事由にあたる可能性があります。

自己破産はやむを得ない事情で経済的に破綻してしまった場合に、申立人に免責許可を与え、借金の支払い義務を免除(免責)する制度です。

そのため、「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担した」(破産法第252条1項4号)場合には免責が認められないことがあります。

その他の射幸行為とは、ギャンブル性の高い行為、具体的には競馬、競輪、競艇、パチンコなどです。スマホゲームでの課金は浪費もしくはその他の射幸行為に該当する可能性があります。

 

裁量免責が認められれば免責される可能性があります。

自己破産の原因に浪費やギャンブル性の高い行為があったとしても、絶対に免責許可決定が出ないというわけではありません。

 

スマホゲームの課金が自己破産の原因の一つであったとしても、通常はそれだけが原因ではなく、生活費の不足部分などを借入れたり、金利が高いことにより、返済金の捻出のために借り入れを繰り返し借金が膨らんでしまった等、他の原因が複合的に合わさって支払い不能になっていることもあるからです。

 

裁判所は、Aさんの収入や資産の額、生活状況、その他の負債の状況から総合的に判断し、免責許可決定を出すことができます。(「裁量免責」といいます。)

 

自己破産に至ったことへの反省や、家計の収支の改善を行い、経済的更生への意欲を示すことができれば、免責許可決定を受けられる可能性があります。

 

司法書士 永野昌秀

奨学金を借りた本人と連帯保証人が自己破産をする場合、保証人は全額返済しなければなりませんか?

 

Aさんは15年ほど前に甥の奨学金の保証人になりましたが、先日甥の父親から、借りていた奨学金が返せなくなった、「本人と連帯保証人の自分は自己破産をすることになったので、今後請求がAさんに行くことになる」との連絡を受けました。

保証人のAさんは奨学金全額の返済をしなければならないのでしょうか。

 

保証人であるAさんの返済義務は半額だけです。

日本学生支援機構の貸与型の奨学金を利用し、「人的保証」を選択した場合、「連帯保証人」と「保証人」の両方を立てなければなりません。

本人が支払いを延滞した場合は、「連帯保証人」に請求がされます。

本人・連帯保証人ともに返還が困難な場合は、「保証人」に請求がされます。

 

「連帯保証人」または「保証人」が複数いるケースだと、「保証人」は貸金(奨学金)を頭数で分割した額の保証債務を負うことになります。

(民法第456条、民法第427条これを「分別の利益」といいます。)

 

奨学金の場合、「連帯保証人」が1人、「保証人」が1人いるため、「保証人」は未返還の奨学金の2分の1の額の保証債務を負うということになります。

 

今回のように本人と連帯保証人が自己破産した場合でも、Aさんは「未返還額の半額」のみ支払えば足ります。本人や連帯保証人と違い「未返還額の全額の返済」をする必要はありません。

 

日本学生支援機構のホームページの記載によると

・保証人は、本機構からの請求に対し、請求額を2分の1にすることを申し出る(抗弁を主張する)ことができます。

 

・これを法律上「分別の利益」(保証人が複数いる場合、その人数に応じた範囲でしか義務を負わない)といいます。本機構は、保証人からの「分別の利益」の申し出に対して、保証人への請求額を返還者本人への請求額の2分の1に減じたり、法的措置に移行している場合は、その2分の1の額で和解する等、適正に対応しております。

とあります。

 

詳しくはこちら

 

なお、Aさん自身も支払うことができない場合には、自己破産をして免責決定が確定すれば、保証債務の支払義務を免れることができます。

 

司法書士 永野昌秀

親が自己破産をした場合には子どもは奨学金を借りられなくなりますか

 

Aさんは3年ほど前、リストラが原因で自己破産をしています。

その後再就職先も見つかり、現在は正社員として働き安定した収入もありますが、自己破産して3年で、貯金もそれほどありません。

Aさんには高校生3年生の子供がいて大学への進学を希望しています。

子供の希望通り何としても進学させたいと思い、奨学金を申し込むことにしました。

Aさんが過去に自己破産をしていると、子供は奨学金を借りることはできないのでしょうか。

 

Aさんが自己破産をしていても子供は奨学金の申し込みが可能です。

奨学金は子供本人が借りる(貸与型の場合)ものであるため、親が自己破産をしていても申し込みは可能です。

 

Aさん自身が子供の奨学金の連帯保証人や保証人になることはできません。

貸与型の奨学金は返済義務があるため、申込時に「人的保証」か「機関保証」のどちらかを選ぶ必要があります。

「人的保証」は、原則として、連帯保証人は父母またはこれに代わる人、保証人は4親等以内の親族で本人及び連帯保証人と別生計の人を立てることとされています。

Aさん自身は3年前に自己破産をしており、信用情報機関に登録されているため、子供の奨学金の連帯保証人や保証人になることはできません。

 

連帯保証人等になってくれる人がいなければ「機関保証」を利用をすることも可能です。

 

「機関保証」を利用すれば連帯保証人等を付けなくても奨学金を借りられます。

「機関保証」は、一定の保証料を支払い、連帯保証人や保証人の代わりに保証機関に保証をしてもらう制度です。

保証料は毎月の奨学金から差し引く方法で支払います。

保証料は、貸与月額、貸与月数、貸与利率、返還期間等により異なります。

 

詳しくはこちらを参照して下さい。

 

司法書士 永野昌秀

自己破産をすれば奨学金の返済も免除されますか

 

Aさんは貸与型の奨学金を高校、大学と通じて借りていましたが、大学卒業後も非正規雇用が続き収入が安定せず、奨学金600万円を返す目処が立たなくなり、自己破産を検討しています。

奨学金を借りた際にAさんの父親が連帯保証人になっています。

自己破産をすれば奨学金の返済も免除されるのでしょうか。

連帯保証人であるAさんの父親にはどのような影響が出るのでしょうか。

 

奨学金も免責を受ければ返済義務がなくなります。

奨学金は自己破産の免責の対象となっています。

そのため、裁判所に自己破産を申立て、支払不能と認められて免責の許可決定が確定すれば、Aさん本人の奨学金の返済義務はなくなります。

 

本人の返済義務はなくなりますが、連帯保証人や保証人は返済義務が残ります。

貸与型の奨学金は返済義務があるため、申込時に「人的保証」か「機関保証」のどちらかを選ぶ必要があります。

「人的保証」は、原則として、連帯保証人は父母またはこれに代わる人、保証人は4親等以内の親族で本人及び連帯保証人と別生計の人を立てることとされています。

「機関保証」は、一定の保証料を支払い、連帯保証人や保証人の代わりに保証機関に保証をしてもらいます。

 

奨学金の返済が滞った場合、「人的保証」では連帯保証人や保証人が本人の代わりに奨学金を返済することになっているため、Aさんが自己破産の申立てをして免責許可決定を受けても、連帯保証人である父親に返済義務が残ります。

 

この場合、連帯保証人である父親に対して一括返済を求める通知が届くことになりますが、相手方との交渉により分割払いが認められる可能性もあります。

 

奨学金の返還が難しくなった場合には「減額返還制度」や「返還期限猶予」などの制度もあります。詳しくはこちら

 

司法書士 永野昌秀

自己破産をするとイデコ(個人型確定拠出年金)はどうなりますか

 

Aさんは自営業者で自宅兼店舗を改装した際に銀行から2000万円の融資を受けました。その後運転資金などの不足を補おうとして、貸金業者からの借金も500万円ほどになり、支払いのめども立たないため、自己破産を検討しています。

Aさんは自営業ですので、国民年金に加入していますが、老後資金の足しにしようと、10年前から個人型の確定拠出年金(以下「イデコ」といいます。)を始めました。

Aさんが自己破産をした場合には、イデコはどうなるのでしょうか。

 

Aさんはイデコを60歳以降に受取ることができます。

イデコとは、公的年金にプラスして給付を受けられる私的年金制度の1つです。国民年金などの公的年金と異なり、加入は任意となります。

60歳以降に、イデコの規約の定めにより、一時金または年金などの形でお金を受け取ることができます。

 

Aさんの自己破産手続きは管財事件となります。

Aさんは自営業者であり、自宅兼店舗という財産があるため、自己破産開始決定と同時に破産管財人が選任され、Aさんの自宅兼店舗などの価値のある財産は破産管財人により管理処分されることになります。

 

破産手続開始決定時の破産者の財産のうち、破産者は一定の財産を自由に処分することができ、これを自由財産といいます。破産者の経済生活の継続と経済的再生のために認められています。

自由財産の中でも、99万円以下の現金、差押えが禁止されている動産(家財道具など)や債権(給料など)は当然に自由財産となり(破産法第34条第3項)、破産管財人の管理処分の対象外になります。

 

イデコの財産は税金の滞納処分以外では差し押さえができない差押禁止財産とされており(確定拠出年金法第32条)、当然に自由財産となるため、自己破産しても守られます。

 

司法書士 永野昌秀

自己破産をすると滞納したNHK受信料はどうなりますか

 

Aさんは借金が500万円ほどあり、自己破産の申立ての準備をしています。

借金の中には、貸金業者からの借金の他に滞納したNHKの受信料も含まれています。

Aさんが自己破産をした場合、滞納したNHK受信料はどうなるのでしょうか。

 

免責許可が確定すれば滞納したNHK受信料の支払い義務はなくなります。

自己破産で免責許可が確定すれば、貸金業者などからの借金の支払い義務はなくなります。

一方で、税金や罰金、一部の公共料金など一部免責されないものもあります。(非免責債権といいます。)

滞納しているNHK受信料はNHKとの受信契約に基づいて発生するため、税金や一部の公共料金とは異なり、貸金業者からの借金と同じように、自己破産手続きで免責許可を求めることができます。

Aさんの免責許可が確定すれば、滞納した受信料の支払い義務はなくなります。

 

滞納したNHK受信料の支払いは免責不許可事由にあたります。

自己破産では全ての債権者を平等に扱うことが求められます。

Aさんが支払い不能になった後または破産手続申立後も、NHKから督促状が送付されてきたり、委託を受けた集金人が訪問をしてきたりすることがあります。

支払不能になった後または破産手続申立後にNHK受信料の滞納分の支払いをすることは、不公平な返済をすることにあたり免責不許可事由に該当します。破産手続きに影響が出ますので、自己破産手続き中に滞納分の受信料の支払いは行わないでください。

 

滞納しているNHK受信料がある場合は相談時に知らせて下さい。

自己破産を申立てる場合にはすべての債権者を裁判所に報告する必要があります。

Aさんが知りながら債権者名簿に記載していない債権者の借金は、免責許可が確定しても免責されず借金の支払い義務が残ってしまうので注意が必要です。

借金の中にNHKの受信料の滞納がある場合には面談の際にお知らせください。

 

司法書士 永野昌秀

 

自己破産をした場合、未受領の養育費はどうなりますか

 

Aさんは離婚後、相手方から養育費を受け取ることになっていましたが、養育費の支払いがされず、自分と子どもの生活費の不足分を借金で補ってきました。

返済が難しい状況になったため、自己破産を検討しています。

Aさんが自己破産をした場合、未受領の養育費はどうなるのでしょうか。

 

Aさんに一定以上の財産がない場合

破産手続開始決定時に一定以上の財産がない場合には、破産手続き開始決定と同時に破産手続きが廃止されます(同時廃止事件)。

Aさんの未受領の養育費を含めた財産の総額が20万円を超えていない場合、Aさんは破産手続き開始決定時に有していた財産全額を手元に残すことができます。

Aさんは未受領の養育費を相手方に請求することができます。

 

Aさんに一定以上の財産がある場合

自己破産手続き開始決定時点で一定の財産がある場合、破産手続き開始決定と同時に破産管財人が選任される管財事件となります。

Aさんに破産手続き開始決定時点で未受領の養育費を含む一定の財産がある場合、原則として未受領の養育費は破産管財人の管理処分の対象になります。

 

① 相手方からの支払いが見込めない場合

未受領分の養育費について、相手方からの支払いが見込めない場合には、なぜ支払いが見込めないのかを破産申立書類の中で明らかにする必要があります。

この場合、未受領の養育費を除くAさんの財産が一定額を下回ることになると管財事件ではなく、同時廃止事件になります。

 

支払いが見込めない理由が不明確な場合には、原則として破産管財人による調査が行われることになります。

破産管財人の調査により、未受領の養育費の回収ができず、Aさんの財産が一定額を下回ることが明らかになった場合は、その時点で破産手続きが廃止されます。

 

② 相手方からの支払いが見込める場合

破産手続開始時点において未受領の養育費は、原則として破産管財人の管理処分の対象になります。

 

ただし、この場合でも、Aさんは、お子さんとの生活を送るうえで、その養育費が生活上欠かすことができないことを裁判所に申出て、裁判所に認めてもらうことにより、現金を含めて最大99万円までの財産を手元に残せる可能性があります。(自由財産の拡張といいます。)

 

司法書士 永野昌秀

自己破産をした場合、受け取っていた養育費はどうなりますか

 

Aさんは離婚後、相手方から養育費を受け取ってきましたが、自分と子どもの生活費の不足分を借金で補ってきました。

返済が難しい状況になったため、自己破産を検討しています。

Aさんが自己破産をした場合、養育費をこれまで通り相手方から受け取れるのでしょうか。

 

自己破産をしても養育費を受け取る権利はなくなりません。

親が自己破産をしたとしても、自己破産手続き開始決定後に受け取る養育費に影響はありません。

破産手続き開始決定後に新たに得た財産は、処分の対象にならないためです。(破産法第34条第1項)

Aさんは自己破産手続き開始決定後、養育費をこれまで通り相手方から受け取ることができます。

 

養育費を口座振込で受領している場合は注意が必要です。

自己破産手続き開始決定時点で一定の財産がある場合、破産手続き開始決定と同時に破産管財人が選任される管財事件となります。

養育費を銀行預金口座等への振込みで受領している場合、銀行口座に振り込まれた養育費は「預金」という扱いになります。

Aさんが自己破産手続き開始決定時にすでに受け取っていた養育費が貯蓄されており、預金として20万円を超える場合、20万円を超える部分は「財産」とみなされ、原則として破産管財人の管理処分の対象になります。

 

その場合でも、Aさんは、お子さんとの生活を送るうえで、その養育費が生活上欠かすことができないことを裁判所に申出て、裁判所に認めてもらうことにより、現金を含めて最大99万円までの財産を手元に残せる可能性があります。(自由財産の拡張といいます。)

 

司法書士 永野昌秀

離婚した相手が自己破産をしたら養育費はどうなりますか

 

Aさんは離婚した相手から「自己破産するから養育費はもう支払えない」と言われました。

Aさんも働いていますが、余裕はなく、突然支払えないと言われても困ってしまいます。

Aさんの子の親権者はAさんです。

親権者でない相手が自己破産をした場合には養育費の支払いを受けることはできなくなるのでしょうか。

 

相手が自己破産したとしても養育費の支払い義務がなくなることはありません。

親は、自分の子どもに対して、扶養義務を負っています(民法第877条第1項)。離婚によって親権を失ったとしても、相手が子どもの親であることに変わりはないため、法律上の扶養義務を継続して負うことになります。

養育費は、自己破産をして免責許可が確定しても支払い義務が免除されない「非免責債権」にあたります。(破産法第253条第1項4号ハ)

 

現実的に回収できるかどうかという問題は残ります。

相手が自己破産をすれば、今まで返済に回していた分だけ生活費に余裕ができる可能性はあります。

相手に収入があれば、破産手続き開始決定後に取得した財産は、相手が自由に処分できる財産となるため、相手との話し合いや、給与などが入ってくる銀行口座を差し押さえることによって、養育費を回収できる可能性はあります(養育費の場合は、最大で手取り額の2分の1までの差押えが認められます。)。

しかし、相手方が経済的に困窮し、資力がほとんどない場合には、現実的に養育費の支払いを受けることは困難になるでしょう。

 

こうした場合、離婚後に受給できる公的給付を利用することも可能です。

詳しくはこちらです。

厚生労働省、ひとり親家庭の支援について

司法書士 永野昌秀