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【相続/Q28】【民法改正】配偶者居住権はどのような場合に消滅するのですか?

question
 
配偶者居住権はどのような場合に消滅するのですか?
 
answer
 
以下のような場合に消滅します。
 
 
① 配偶者の用法遵守義務違反等があり、居住建物の所有者から消滅請求を受けた場合
② 存続期間が満了した場合
③ 配偶者が死亡した場合
④ 居住建物が全部滅失した場合

 
 
① の場合、居住建物の所有者は相当期間を定めて、配偶者に対し
用法遵守義務違反等の是正を催告し、相当期間内に是正がされない場合に、
消滅請求をすることができます。(民法第1032条4項)
 
② の場合、配偶者居住権は原則として配偶者が死亡するまで存続しますが、
遺贈、遺産分割協議又は家庭裁判所の調停や審判で一定の期間を定めること
ができるため、その期間が満了すると消滅します。
 
③ 、④の場合、配偶者居住権は配偶者の居住を目的としているため、
当人である配偶者が死亡した、または居住建物が全部滅失した場合、
配偶者居住権を成立させている意味がなくなるため消滅します。
 
また、配偶者が配偶者居住権を放棄した場合や、
配偶者と建物所有者の間で配偶者居住権を消滅すること
に合意した場合も消滅します。

【相続/Q27】【民法改正】配偶者居住権を取得する(させる)場合に注意することはありますか?

question
 
 
配偶者居住権を取得する(させる)場合に注意することはありますか?
 
 
answer
 
将来的に、配偶者が高齢になった場合や認知症になった場合に、
介護施設や老人ホームに入所することを考えると、
慎重な検討が必要になると思います。
 
 
配偶者が長期間居住することを前提に配偶者居住権を取得したにもかかわらず、
高齢化した、認知症になったなどの事情の変化で、介護施設や老人ホームに
入所せざるを得なくなった場合に、入所費用やその後の生活費をねん出しようと思っても、
居住建物を売却して一時にまとまったお金を得ることができません。
また、配偶者居住権は第三者に売却することもできません(民法第1032条2項)。
 
 
 その場合には
① 配偶者居住権を放棄することを条件に建物所有者から金銭の支払いを受ける。
② 建物所有者の承諾を得たうえで第三者に居住建物を賃貸して賃料収入を得る。
 
などの方法が考えられますが、
 
① の場合、建物所有者との合意が必要になります。配偶者と建物所有者の関係が悪ければ、
合意するのは難しいでしょう。
② の場合、建物が老朽化していた場合に、そのままで借り手が見つかるか。
もしリフォーム工事が必要な場合に、建物所有者の承諾が得られるか
(建物所有者に費用負担が発生します)などの問題もおこるのではないでしょうか。
 
 
以上のように、配偶者居住権は配偶者の居住環境の継続性を保護するうえで有用な反面、
将来的なことを考えると制約となることもありえます。
 
 
長い将来のことをすべて想定しておくことは不可能ですが、配偶者居住権を取得する(させる)
にあたっては慎重な検討が必要になると思います。